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【2024年7月改定版】2024年10月からの 先発医薬品選定療養自己負担増額チェッカー

2024年7月12日に厚生労働省から[長期収載品の処方等又は調剤に係る選定療養における費用の計算方法について」が公表されました。

これにより今まで曖昧だったいくら増額されるのかがほぼ正確にわかるようになりましたので

2024年10月からの先発医薬品選定療養自己負担増額チェッカー「2024年7月改訂版」を作成いたしました。

2024年4月に公開した従来版も引き続き使用できますのでお好みの方をご使用ください

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[改訂版]選定療養自己負担増額チェッカーの使い方

注意点

必ず剤毎に計算を行うこと!!!

計算の過程で点数を用いるため剤の異なる医薬品を含めると計算が狂います。

下記のような処方の場合

ーーーーーーーーーーーーーーーー

Rp1)

ムコダイン錠500mg 3錠

ムコソルバン錠15mg錠 3錠

トランサミン錠500mg 3錠

1日3回 7日分

Rp2)

シングレアチュアブル錠5mg 1錠

1日1回 30日分

Rp3)

ヒルドイドソフト軟膏 100g

1日数回塗布 全身

Rp4)

モーラステープL40mg 21枚

1日1回貼付 腰

ーーーーーーーーーーーーーーーー

① Rp1)の3種類を入力して計算

② Rp2)を入力して計算

③ Rp3と4)を入力して計算 

Rp1)とRp2)は剤が異なるため分けて計算を行います

Rp3)とRp4)は外用剤のためまとめて計算してください、その時「処方日数」は1に設定し「1日量」に処方量を入力してください。

チェッカー使用時の流れ
  • 負担割合を選択する
  • 処方日数を入力する
  • 先発薬品を選択する
  • 1日量を入力する

負担割合を選択する

画面左上の負担割合はデフォルトで「3割」が選択されていますので、適当なのものに変更してください。

処方日数を記載する

処方日数を入力します。画像では7日分として計算を行います。

先発薬品を選択する

検索したい薬品名を入力します。ヒットすればリストが更新されるので該当する医薬品を選択します。

先発薬品を選択すると自動的に各種計算に用いられる金額が表示されます。

1日量を記載する

デフォルトでは0になっているので、計算したい量に変更します。

画像では各種3を入力し3錠ずつで計算をおこなった場合増額分は56円であることがわかります。

ちなみに10月以降の患者さんの負担額は77円+189円=266円

9月までの患者さんの負担額210円です

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処方例で計算してみる

このページ冒頭の注意点にある処方例で「3割」負担の場合いくら増額するかを計算してみたいと思います。

※シングレアチュアブルが3割負担って意味わかりませんがご容赦ください(笑)

処方内容

Rp1)

ムコダイン錠500mg 3錠

ムコソルバン錠15mg錠 3錠

トランサミン錠500mg 3錠

1日3回 7日分

Rp2)

シングレアチュアブル錠5mg 1錠

1日1回 30日分

Rp3)

ヒルドイドソフト軟膏 100g

1日数回塗布 全身

Rp4)

モーラステープL40mg 21枚

1日1回貼付 腰

Rp1の計算結果

Rp1)については先程結果をだしております!56円です。

風邪薬は安い!

Rp2の計算結果

シングレアチュアブル 1錠 ×30日分の場合は240円でした。従来版で同じように計算すると312円でしたので少し安くなった印象です。

Rp3・4の計算結果

外用剤はまとめて計算します。2つ合わせると272円ですが、ヒルドイドソフト軟膏単体で計算してみると256円ですので金額のほとんどがヒルドイドでしめているのがわかります。

全ての金額を合算すると…

56円 + 240円 + 272円 = 568円 でした!

わかっていたことですがシングレアチュアブルとヒルドイドソフトは負担がかなり増えます!

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あらためて小児科門前薬局目線から見てみる

改訂版での計算方法の場合、薬品1種類ずつで計算するのはナンセンスなのであくまでいろいろ計算してみた結果の感想を述べさせていただきます。

ここから下は「小児(受給券あり)」で計算されています。

風邪薬の場合

ムコダインやトランサミンをはじめとした風邪薬は錠剤・散剤・水剤に限らず薬価が非常に安いので、剤でまとめても「S-G薬価の差額の4分の1」が15円を超えることはほぼありえません。(15円以下は1点として計算されるので消費税を含めると11円になる)

そのため剤が同じであれば何種類出ていても下記の計算式に当てはめれば簡単に計算可能です。

増額 = 処方日数 × 11円

1種類のときと4種類のときで値段が同じって違和感しかありませんが計算上しょうがない…

定期薬の場合

ウチでよく出る定期薬の場合で見てみます。

計算結果はすべて単独の剤の場合を載せています。

薬品名増額
ヒルドイドソフト軟膏100g352円
ベシケアOD錠2.5mg1錠 × 30日分330円
シングレアチュアブル錠5mg1錠 × 30日分330円
アラミスト点鼻液27.5μg56噴霧用1瓶132円
アレロックOD錠52錠 × 30日分330円
クラリチンレディタブ錠10mg1錠 × 30日分330円

内服はすべて330円になるという結果でした。気持ち悪い計算結果ですが1剤毎で計算するとこうなってしまうのでこれまた仕方がない…

正直小児科で出るような内服薬だと「S-G薬価の差額の4分の1」×「1日量」を五捨五超入して点数になおしても1点にしかならないので

処方日数 × 11円

上記で計算できてしまいます。

しかしヒルドイドのような「1日量」が100gとなるような外用剤の場合は「S-G薬価の差額の4分の1:3.23円」×「1日量:100g」=323円を五捨五超入で32点となるため中途半端な金額になりがちです。

最後に一言

2024年10月から始まる長期収載医薬品の選定療養に向けてチェッカーサイトの改訂版を作成させていただきました。

このチェッカーサイトが皆様にお役立ていただければ幸いです。

もしチェッカーのバグや計算の不備等お気づきの点がありましたら、当サイトのお問い合わせフォームでご連絡ください。

実際にあったQ&A

Q1. 患者さん説明用の資料にチェッカーサイトのURLを転載してもよいですか?

A.問題ありません。

当チェッカーサイトは特に利用制限を設けておりませんので多くの方のお力になれるようでしたら自由に使って頂いて構いません

Q2. 1割負担よりも3割負担のほうが金額が安くなったのですがバグですか?

A.バグではありません。

当チェッカーサイトは患者様からみて10月以降の負担額が9月までの負担額と比べていくら増えるかを計算するサイトとなっております。

よって増額分については1割負担よりも3割負担の方が安くなります。

10月以降の負担額はチェッカーサイトの「選定療養の費用」と「選定療養を除く保険対象の費用」を足し合わせることでもとめることができ、3割負担の方が1割負担よりも負担額は高額であることが確認できます。

Q3. 頓服を調べる場合にはどうすればよいですか?

A.外用剤と同様に処方日数に11日量に全量を入力してください。

例)デパス錠0.5mg 1錠 10回分の場合

↓の画像のようになります。

Q4. 処方日数が同じだと複数の医薬品を入力もしくは医薬品を変更しても金額が変わりませんバグですか?

A.バグではありません。

【改訂版】では入力された医薬品は全てまとまった剤として計算が行われるため、

薬価の低い他の医薬品に変更もしくは追加しても五捨五超入して求めた点数に変動がないため起こる現象です。

下記に例としてムコダイン錠500㎎単独の場合とトランサミン錠500㎎を組み合わせた場合の選定療養費を求める計算を記載いたします。

選定療養費を求める計算

・ムコダイン錠500mgの先発品と後発品の価格差の1/4:0.2円

・トランサミン錠500mgの先発品と後発品の価格差の1/4:0.45円

例1)ムコダイン錠500mg 3錠 分3 7日分単独の場合

各薬品の先発と後発の差額の1/4×1日量の和:0.2円 × 3錠 = 0.6円

0.6円を五捨五超入した点数:1点

選定療養費:1点 × 10円 × 7日分 × 1.1(消費税)= 77円

例2)ムコダイン錠500mgとトランサミン錠500mg 3錠 分3 7日分を組み合わせた場合

各薬品の先発と後発の差額の1/4×1日量の和:0.2円 × 3錠 + 0.45円 × 3錠 = 1.95円

1.95円を五捨五超入した点数:1点

選定療養費:1点 × 10円 × 7日分 × 1.1(消費税)= 77円

上記のように薬価の安い医薬品を複数入力もしくは入れ替えたとしても[各薬品の先発と後発の差額の1/4×1日量の和]が15円を超えないため点数が1点にしかなりません。

よって金額がかわらないという現象が起こります。

Q5.医薬品を追加したら増額が減少しました。バグですか?

A.バグではありません。

当チェッカーでは以下の計算式によって増額が求められています。

増額 = 選定療養費+10月以降の保険適応による負担額-9月までの保険適応による負担額

医薬品を追加して増額が減少するのは[選定療養費]に変動はないものの、[10月以降の保険適応による負担額]と[9月までの保険適応による負担額]の差が広がってしまったことが原因です。

以下の処方例からムコソルバン錠の有無による計算過程を記載いたします。

なお選定療養費については変動がないため詳しい計算は割愛し110円で計算させていただきます。

[10月以降の保険適応による負担額]= 各医薬品の先発の薬価から差額の1/4を引いた価格 × 1日量 の和を五捨五超入して求めた点数 × 10円 × 処方日数 × 負担割合

[9月までの保険適応による負担額]= 各医薬品の先発の薬価 × 1日量の和を五捨五超入して求めた点数 × 10円 × 処方日数 × 負担割合

処方例

Rp.1)

ムコダイン錠500㎎ 3錠

トランサミン錠500㎎ 3錠

ムコソルバン錠15㎎ 3錠

毎食後 10日分

計算に使う情報

・ムコダイン錠500㎎ 

先発品の薬価:10.1円

先発の薬価から差額の1/4を引いた価格:9.9円

・トランサミン錠500㎎

先発品の薬価:13.2円

先発の薬価から差額の1/4を引いた価格:12.75円

・ムコソルバン錠15㎎

先発品の薬価:8.6円

先発の薬価から差額の1/4を引いた価格:7.92円

選定療養費:110円

計算

ムコソルバン錠15㎎が無い場合

各医薬品の先発の薬価から差額の1/4を引いた価格 × 1日量 の和:9.9円 × 3錠 +12.75円 × 3錠 = 67.95円

67.95円を五捨五超入した点数:7点

10月以降の保険適応による負担額:7点 × 10円 × 10日分 × 0.3(3割負担)= 210円

各医薬品の先発の薬価 × 1日量の和:10.1円 × 3錠 + 13.2円 × 3錠 = 69.9円

69.9円を五捨五超入した点数:7点

9月までの保険適応による負担額:7点 × 10円 × 10日分 × 0.3(3割負担)= 210円

増額:110円(選定療養費) + 210円(10月以降の保険適応による負担額) - 210円(9月までの保険適応による負担額)= 110円

ムコソルバン錠15㎎がある場合

各医薬品の先発の薬価から差額の1/4を引いた価格 × 1日量 の和:9.9円 × 3錠 +12.75円 × 3錠 + 7.92円 × 3錠 = 91.71円

91.71円を五捨五超入した点数:9点

10月以降の保険適応による負担額:9点 × 10円 × 10日分 × 0.3(3割負担)= 270円

各医薬品の先発の薬価 × 1日量の和:10.1円 × 3錠 + 13.2円 × 3錠 + 8.6円 × 3錠 = 95.7円

95.7円を五捨五超入した点数:10点

9月までの保険適応による負担額:10点 × 10円 × 10日分 × 0.3(3割負担)= 300円

増額:110円(選定療養費) + 270円(10月以降の保険適応による負担額) - 300円(9月までの保険適応による負担額)= 80円

上記のようにムコソルバン錠を追加する前は

[10月以降の保険適応による負担額]と[9月までの保険適応による負担額]は五捨五超入した段階でともに7点であるため差が無いのに対し

ムコソルバン錠を追加すると[10月以降の保険適応による負担額]が9点、[9月までの保険適応による負担額]が10点となり1点分の差が生まれてしまうため

ムコソルバン錠15㎎を追加前と比べると増額が減少するという結果になります。

参考サイト

厚生労働省 後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について

Kakar 使用薬剤料

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